オンライン展示会の導入事例や活用方法、失敗しないポイントまで徹底解説!
オンライン(バーチャル)展示会とは
オンライン(バーチャル)展示会とは、インターネット上で開催される展示会を指します。
従来であれば会場を借り、集客して行っていた展示会と同様に、企業プロモーションや顧客の獲得などを目的としており、バーチャル展示会ともいわれています。
自社製品やサービスを動画で紹介したり、ウェビナー(Web上のセミナー)を開催したりと、オンラインならではの取り組みの実施が可能です。
また、バーチャルとリアルの同時開催であるハイブリッド型もあり、新しいコミュニケーションイベントツールとして期待が高まっています。効率的な展示会開催が可能となるため、多くの企業がオンライン展示会の開催を検討しています。
オンライン展示会では、企業が単独で開催する「自社開催型」と、複数の企業で開催する「合同開催型」があり、それぞれにメリット・デメリットがあるため目的に応じた選択が必要です。
本記事では、オンライン展示会を開催するにあたっての基本的な概要と事例を紹介します。自社ブースの出展をお考えの方は、参考にしてみてください。
オンライン展示会の2つのパターン
オンライン展示会のパターンは2つです。
- 仮想空間のみで開催するケース(実写または3DCG)
- リアルイベントと同時開催するケース(ハイブリッド型)
バーチャル体験ができる展示会を開きたいなら3DCG、コストをかけたくない場合は2D、カンファレンスやセミナー目的で使う場合はウェビナーなど、目的に応じてのプラットフォームを選択するのが重要です。
また、オンライン展示会でも、リアル展示会と同じようなことが可能となっています。
- ランディングページ(LP)の制作
- 受付
- 製品カタログ、資料の設置
- ウェビナーの配信
- 来場者とのコミュニケーション(チャットでの質疑応答や、Web会議ツールを使用したオンライン商談)
- アンケートの実施
- 来場者分析や管理
- アバターによる会場内移動
展示会の環境については、各社がリリースしているプラットフォームによって自由度が変わります。
実写か完全3DCGかどうかでも、できることは変わってきます。何をやりたいのかによって、プラットフォームを選択することが重要となるでしょう。
また、リアルとオンラインが融合した、ハイブリッド型展示会も多く開催されています。それぞれのデメリットをカバーしつつ、強みを活かした展示会開催が可能です。
どのような目的で開催するのか、規模はどうするかなどを明確にするのが重要です。
オンライン展示会のプラットフォームを選択する基準
オンラインで展示会のプラットフォームは、以下の基準により選択されるケースが多く見られます。
- 展示会の規模(自社開催、他社主催に参加など)
- 予算
- 開催期間
- 実装している機能(外部連携機能やデバイス)
- ウェビナー機能や個別商談機能
- 行動データの取得
- オンライン展示会を開催した企業一覧
- プラットフォーム制作会社の規模や実績
本来であればリアル展示会で実施していた工程を、オンライン上で完結させることが可能です。
しかし、提供会社によってかかる費用や機能も異なるため、オンライン展示会の開催目的を明確にして、それに合ったプラットフォームを選択することが重要になります。
オンライン展示会の導入事例
ここでは、実際にオンライン展示会を開催した企業の事例を紹介します。
イグス株式会社
樹脂製の製品や機械製品を製造販売する「イグス株式会社」。従来のオフライン展示会を模した実写形式で製品を紹介しており、イグスの製品購入を検討している方は、豊富な製品をまとめて確認できます。
製品画像に表示されたアイテムアイコンをクリックすることで、製品の情報を簡単に調べられることが可能であり、操作性に優れています。
また、開催期間を設定せずに、特設サイトとして常設している点も特徴です。操作方法についての説明も確認でき、オンライン展示会に不慣れな方でも理解しやすい仕様となっています。
IT&MARKETING EXPO
株式会社ストラーツが主催している、合同開催型のオンライン展示会です。2021年にはITサービスやソリューションを提供する企業が計300社出展し、ビジネスに関わるさまざまな分野の方々が来場しました。
出展企業は、オンラインブースやセミナー動画を通して自社サービス・ツールの紹介ができ、見込み顧客に対してチャットやZoomでコンタクトを取ることが可能となっています。
また、公演やセミナーでは業界の著名人を招いて対談・ディスカッションを行い、話題性や集客力を高めています。
ヤンマーアグリジャパン
農業機器の販売・メンテナンスを行っているヤンマーアグリジャパン株式会社が提供している展示会です。フルCGで開催されており、展示会会場では機材の種類ごとにコーナーが解説されています。
機材コーナーではさまざまな製品が並んでおり、製品の詳細や紹介動画を見ることもできます。また、サポートやメンテナンスコーナー、さらにはオンライン商談への動線もあり、リード獲得へつなげています。
JAPANTEX
JAPANTEXは、一般社団法人日本インテリア協会が主催で、毎年開催されている有名なイベントです。2022年は3年ぶりのリアル開催に加え、オンラインでも展開されるハイブリッド型展示会です。
2021年の開催では、バーチャル空間上で出店される各ブースで、オンライン商談まで実現しました。多くの展示会では、ユーザーが一方的にサイトを閲覧するタイプのプラットフォームが利用されている中、顔が見えるバーチャル展示会プラットフォームmeet×meet(ミーツ)を採用。
顔を見て話す、商談機会創出にこだわったバーチャル展示会で、コミュニケーションの取りやすさを特徴としています。
オンライン展示会の活用方法
オンライン展示会の魅力は、なんといっても時間と場所が限定されないところでしょう。インターネット環境さえあれば、国内外問わずコミュニケーションが可能です。
また、リアル展示会のように直接会うことはできませんが、Zoomなどのビデオ通話ツールを使用することにより、相手の顔を見ながら話すことができます。
自社開催型・合同開催型どちらを選ぶか
オンライン展示会は、自社開催型と合同開催型がありますが、それぞれに特徴があります。どのような目的で開催するのか、規模はどうするかなどにより開催スタイルは変わってきます。
自社開催型
自社開催型は自由度が高く、自社に興味がある顧客だけを集められるのが特徴です。ただし、Webサイトの制作費用や開催中の運営費用、集客費用など、コストがかかります。
また、マーケティングや戦略立案も自社で行わなければなりません。
- 自社製品やサービスをアピールしたい
- 予算やノウハウがある
- SNSなどでの集客力がある
このような場合には自社開催がおすすめですが、IT領域の専門性など、ある程度オンライン展示会に対する環境が必要です。
その他、プラットフォームを利用せずに自社のWebサイトに特設ページを作り、オンライン展示会を行う方法もあります。
一度作ってしまうとランニングコストが安く済むので、常設や長期開催などに向いているといえるでしょう。
さらにフォーマットがないため、こだわりのデザインやコンセプトに合わせたページ作りが可能です。ただし、手間やコストもかかるため、初めての場合にはハードルが高い手法だといえます。
合同開催型
合同開催型は、複数の企業が参加者を募るため集客がしやすく、コスト面でも自社開催と比べて安価になります。
ただし、主催企業のプラットフォームに依存するため、こだわってデザインを作りたい場合などの自由度が制限される可能性があります。
- 初めてオンライン展示会を実施する
- 知名度が足りず、集客に不安がある
- コストを抑えたい
など、自社開催に不安がある場合は合同開催型からはじめてみるのも良いでしょう。多くの来場者が見込めるメリットもありますので、有効な戦略といえます。
オンライン展示会で集客するには
ブースにより多くの来場者を集められるよう、オンライン展示会の開催前に対策をしておくことも重要です。SNSやWeb広告で告知をしたり、既存リードに対して案内を送っておくなど、事前集客に力を入れていれば、当日の商談獲得につなげやすくなります。
プラットフォームで対策する
プラットフォームとは、オンラインでの展示会を効果的に実施できる専用ツールです。展示会に適した仕様となっているため、展示会で求められる便利な機能が豊富にあることを特徴としています。
事前登録用のフォームやチャット機能、YouTubeやZoomなどと連携し、動画配信やウェビナーの開催も可能です。
オンラインでしかできない見せ方をする
オンライン展示会ならではの要素として、VRや3DVR、360°画像や動画など、最新の技術を活用できるメリットがあります。さらにこれらのコンテンツはアーカイブとして保存し、プロモーション素材として二次的に活用できます。
オンラインでは離脱が簡単に可能なため、参加者を飽きさせない工夫が必要です。
プレミアム感を演出する
疑似体験の提供が難しいオンライン展示会では、セミナーやプレゼンテーション、配信用の動画で参加者の興味を引くことも大切です。また、プレミアム感のある情報や、目玉となる企画も準備するとなお良いでしょう。
オンライン展示会のメリット
ここでは、オンライン展示会のメリットについて解説します。
メリット①:時間や場所などの制約がないため参加しやすい
リアル展示会とは違い、インターネットさえあれば誰もがアクセスできるオンライン展示会。時間や場所、天候の制約がなく、参加しやすいのが長所です。また、参加のしやすさから幅広い集客が実現するメリットもあります。
メリット②:リアルの展示会より出展にかかる費用を大幅に抑えられる
ブースのレンタル費用や、装飾費や資料の印刷代、スタッフの人件費・宿泊費などのコストを削減できます。オンライン展示会では、ブース出展料がかかりますが、紙で用意していたものや人件費が大幅に削減できますので、経費削減の効果は高いです。
メリット③:参加者のデータを集められるため効果測定しやすい
オンライン展示会では、より正確に参加者のデータを測定可能。ブースへ訪問した人のデータも、リアルタイムで取得ができます。そのため、展示会後は迅速にフォロー施策へつなげやすくなります。
オンライン展示会のデメリット
続いて、オンライン展示会のデメリットについてまとめます。
デメリット①:プッシュ型の営業に向いていない
オンライン展示会は、リアル展示会のような、立ち止まってくれた人に声をかけるといったプッシュ型のコミュニケーションが難しい点があります。直接的なアプローチが難しく、一方的なコミュニケーションになりやすい点も。
デメリット②:実際の製品体験を提供できない
見ることはできても、触れることができないのがオンライン展示会のデメリットといえるでしょう。来場者に直接製品を触ってもらったり、デモンストレーションを見せたりはできません。ブースに工夫をして、製品の形状や素材がわかる画像・デモ動画を準備するのもひとつの方法です。
オンライン展示会の活用で失敗しないためのポイント
オンライン展示会の一番の弱点は、疑似体験の提供が難しいという点です。
実際に見て、触れてという体験に勝るものはありません。その差をどうやって埋めていくかが、オンライン展示会成功へのカギになるでしょう。
ユーザーの使いやすいプラットフォームを選択する
プラットフォームの選択については、運営側の使いやすさだけではなく、ユーザー視点での使い勝手も考慮する必要があります。操作感・移動・動きの重さによってユーザーにストレスがかかる場合、関心のある製品にたどり着く前に離脱してしまう可能性が出てきます。
オンライン展示会の最大のメリットは利便性ですが、一方ですぐに離脱されてしまう側面があるので、いかに顧客を引きつけるコンテンツを用意できるかが重要となってきます。
ウェビナーを活用する
ウェビナーとは、ウェブとセミナーを組み合わせた造語であり、ウェブセミナーやオンラインセミナーとも呼ばれています。ウェビナー活用は、成果につながりやすい手段のひとつであり、リアルとは違い実際に製品に触れられないというオンライン展示会のデメリットをカバーできます。
しかし、視聴者の関心を引くコンテンツを提供できなければ、製品ページの閲覧や、資料のダウンロードへつなげるのは難しくなります。
さらに、ウェビナー会場と展示ブース会場が分離してしまうと、視聴者が興味を持ってもどこへ行ったらいいかわからないという自体になりかねません。
参加者の流れを考慮して、オンラインに適した会場設置を行います。
参加者の行動データを取得・蓄積する
オンライン展示会のメリットとして、参加者のデータを集められる・効果測定をしやすいという部分があります。参加者の動線や興味のあるコンテンツなど、行動履歴を分析すれば意向に沿ったアプローチを取ることが可能です。
さらに、開催ごとにデータを蓄積すれば、リードの動きや特徴を理解しやすくなり、中長期的にフォローしやすくなるといった側面もあります。
リアル展示会と違い、企業担当とユーザーがコミュニケーションを取りづらい部分があるため、データ分析は重要なポイントです。
オンライン展示会のサービス紹介
EventHub
株式会社EventHubが提供する、オンラインとオフラインをまたいだハイブリッドなイベントに対応するプラットフォームです。展示会だけではなく、ウェビナーやカンファレンスなど、さまざまなタイプのイベントを検討している企業におすすめ。気象庁や第一生命などが導入しています。
そのまま展示会
SoVec(ソベック)株式会社は、VR空間共有技術で展示会を忠実に再現したバーチャル展示会プラットフォーム「そのまま展示会」を2020年7月より受付開始。オンライン会場内に、実物にそっくりの「そのまま」の展示会のリアリティを追求しています。
zone.
イベントプロデュース企業、株式会社ジールアソシエイツが作るオンラインイベントプラットフォーム「zone.」の正式版が2020年8月にリリースされました。新時代の展示会/イベントソリューションを高品質・低価格で提供します。BtoB企業の販促支援を得意としています。
まとめ
2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、人が集うイベントや展示会というものは多くが中止や延期に追い込まれてきました。そのような状況から、オンライン展示会へ移行する企業は増えてきています。
今後新型コロナウイルスが収束に向かうとしても、これまでのリアル展示会とオンライン展示会の「良いとこ取り」をした、ハイブリッド型展示会が主流となっていくのかもしれませんね。